硝子体注射
体内には、脈絡膜新生血管の成長を活発化させるVEGF(血管内皮増殖因子)という物質があります。
このVEGFが網膜内の毛細血管から漏れ出し、新生血管の増殖や黄斑浮腫を引き起こし視力低下を来しています。この働きを抑える効果がある抗VEGF薬剤を眼球の中の硝子体に注射することにより、脈絡膜新生血管の増殖や成長を抑制する治療方法です。
主な適応疾患
- 加齢黄斑変性症
- 網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫
- 糖尿病網膜症に伴う黄斑浮腫
- 強度近視による脈絡膜新生血管 など
現在、抗VEGF硝子体内注射に使用する薬剤は、ルセンティス、アイリーア、ベオビュ、バビースモが日本では認められており、保険適用されます。
抗VEGF薬による治療は、一旦症状がよくなっても再発することもあります。
自覚症状がないうちに、症状が進行して視力が低下したり、見えにくい範囲が広がったりするのを防ぐためにも、定期的な検査と治療が大切です。
当院では、視力検査、眼底検査などを定期的に行いながら、患者様の状態に適した治療スケジュールで行っています。
抗血管新生薬療法
治療の流れ
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1抗菌剤の点眼
注射する3日前より感染症を予防する抗菌剤を点眼していただきます。
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2消毒後、薬を注射
注射前に点眼麻酔を行い、眼球とその周囲の皮膚を消毒し、器具を使用して目を開けます。
白目の部分に注射します。痛みはほとんどありません。
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3抗菌剤の点眼
注射後も抗菌剤の点眼を1週間使用していただきます。
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4定期的に注射
注射の頻度・回数は、病気の状態によりさまざまですが、約4週間ごと、約6週間ごとに注射する方法などがあります。
1回で効果がある方もありますが、通常は3回程度行います。(7~8回行う場合もあります)
治療スケジュール
加齢黄斑変性の場合
まず1ヶ月に1回、連続3回行います。
その後は定期的に経過観察を行いながら、通常、2ヶ月に1回治療を状態が安定するまで続けます。
糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、強度近視による脈絡膜新生血管の場合
視力が安定するまで月1回行い、その後は症状に応じて注射します。
いずれの場合も、治療の間隔は症状に応じて調整されます。
術後の注意点
日帰り手術は、術後の注意点を守ってさえいれば比較的自由に日常生活をすることができます。
感染症の危険は非常に低いですが、眼内への処置である以上、注意は必要です。
入浴 | 注射当日から、首から下のシャワー、入浴が可能です。 |
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洗髪・洗顔 | 注射当日は、直接目に水が入るような洗髪・洗眼はお控えください。 翌日からは可能です。 |
お化粧 | 注射後3日は、目の周りの化粧はお控えください。 注射翌日から、目周り以外のお化粧は可能です。 |
TV・読書 | 注射当日から可能です。 |
飲酒 | 注射当日はアルコールをお控えください。 |
仕事・運動 | デスクワーク、散歩程度の運動は注射翌日から問題はありません。 激しい運動は3日程度は控えてください。 |